注文住宅を設計するうえでのポイントや注意点とは

戸建住宅と比較して割高にはなるものの、自由の高い設計が最大のポイントとなる注文住宅は、実際、どのような方が建てているのでしょうか。社団法人住宅生産団体連合会の調査によると、戸建注文住宅の世帯主の平均年齢は41歳ぐらいで年々、若返りの傾向にあります。
現代の住宅事情とは

戸建注文住宅の世帯人数は3人~4人、建築費は3400万円弱ということがわかっています。平均で割り出すと40代となりますが、中心となる世代は30歳~34歳で、20代から30代までが全体の半数以上を占めています。
ほとんどの方が40代を迎える前に家を建てており、子どもが生まれたり、小学校に入学したりするのを機に決断する方が多いようです。また、子どもが成人、独立したことを機に、終の棲家として家を建てる40代後半や60代の方も目立ちます。
世帯年収の平均は870万円弱で、地域的には、大阪圏が一番高く、東京圏、地方圏の順となっています。
建築費の平均価格3400万円は坪単価に直すと85万円弱で、わずかではありますが以前と比較すると建築費の上昇に落ち着きがみられてきたともいえます。
住宅を建てるために借り入れする金額は、徐々に増えており、10年間でみると750万円ほどの上昇となっています。建築費や土地価格の高騰がその原因のひとつといえますが、最近では、マイナス金利政策によって住宅ローンの金利が引き下げられており状況の改善も期待できるでしょう。
家を建て替える際の前の住宅の築年数の平均は、2015年度には38.3年になっており、全体の45%以上が築40年と築年数が古くなる前に建て替えをする人が少ないとともに建てられた家が長期優良住宅だということが言えます。
価格競争とともに高性能で長持ちする家が建てられているため、今後も日本の家の寿命は延びていくことが予想されます。
オーダーメイドの家づくりで注意すべきこと

注文住宅は、建売住宅と違って、確認できるのは図面上だけで実際に完成しないと間取りを実感することができないものです。住み始めてからでは遅すぎる、設計上で留意すべきポイントにはどんなことがあるのでしょうか。
住宅は広いスペースの間取りだけがいいというものではなく、それぞれのライフスタイルに合わせた動線をよく考える必要があります。キッチンはなぜ対面式やアイランド型にするのかという明確な理由を持っていなければ、デザインや見た目のカッコよさだけで決めてしまうと後悔することになってしまいます。
また、リビングにソファを配置することを見越して間取りをデザインしたのに、実際には、眺めるインテリアとしてだけで使用することがほとんどないということもあります。最も大切な家の核となるスペースが圧迫されてしまうため、無駄が多くなります。
キッチンやバスルーム、洗面所やトイレは工事の都合上や設備面から近くにまとめて設置することが多いものですが、水回りの間取りは特に主婦の家事動線を考えて配置しなければ使い勝手の悪いものとなってしまいます。
この動線は、収納についてもいえることで、いくら大容量収納が可能だからといっても、天井裏やはしごをかけて登らなくてはならないロフトなどの場合は、昇り降りに苦痛が伴うため、実際には使用しないということにもなりかねません。
また、ソファに座ったら、家の横を歩く人の目線とちょうど同じ高さとなり、せっかく日当たりがいいリビングなのに、いつもカーテンを閉めなくてはならないなど、家具のおおよその配置も決めておく必要があります。
家づくりを依頼する業者の選び方

注文住宅を建てる場合には、基本的に業者への依頼も自分で行うこととなるため、どのようなことをポイントとして依頼先を決定するのかということが大切になります。
ハウスメーカーや認知度の高い有名企業も多く、住宅展示場でもたくさんのモデルハウスを見ることができます。自由な間取りなどを尊重しながらも建売住宅のような低価格で販売するところもあり、プランの融通性が利くのがメリットとなっています。
設計事務所は、間取りの立案や設備面などで施主の要望を尊重してくれるイメージがありますが、発想力や想像力に優れた才能のある一級建築士の手によっていちから図面を引くことになるため、期間が予想以上にかかったり、デザイン料が高くついたりすることもあります。
公務店の場合は、ほとんどの場合が地元密着型で施主との距離を大切にしながら手作り感があるのが最大のメリットでしょう。
熟練の職人技が光る丹精込めた丁寧な仕事ぶりが気に入るという方も多いようで、時間が多少かかるものの膝と膝を突き合わせながら、よりいい家づくりのための話し合いを何度も重ねながら理想の形へと近づけていく家づくりの醍醐味のようなものも感じることができます。
住宅を建てる際には、このようにさまざまな特徴のある業者から自分たちのライフスタイルや予算、工期などに合ったところを選ぶことになります。
また、費用のわかりやすさや間取り、設備などの自由度がどの程度反映されるかなども重要なこととなるため、何でも遠慮なく話し合える業者が家づくりのための最大のパートナーとなることでしょう。