知っている人だけ得をする狭小住宅の間取りとは?

狭小住宅というと、なんとなく狭くて住みづらいのではないかと想像してしまいますが、実際にはあえて狭小住宅を選択する人も少なくありません。そんな狭小住宅にはどのようなメリットがあるのでしょうか?今回は、実際に狭小住宅を建てて住んでいる人に、狭小住宅のメリットについてアンケート調査を実施しました。狭小住宅を建てる際におすすめの間取りや、狭小住宅での生活を快適にする工夫についてもご紹介していきます。
目次
狭小住宅のメリットは?
狭小住宅を建てる際におすすめの間取りは?
狭小住宅での生活を快適にする工夫
狭い土地に建てる「狭小住宅」が人気の理由とは?
面積に応じて決まる「固定資産税」をコスト削減?
見せる収納でインテリアが快適?
住宅ローン減税を受ける条件
まとめ
狭小住宅のメリットは?

狭いとわかっていても狭小住宅を建てて住む人がいるということは、狭小住宅に魅力があるということです。そこで、狭小住宅を建てて住んでいる人に対し、「狭小住宅のメリットは何ですか?」と尋ねてみました。
アンケートの結果、1位にランクインしたのは「お手入れや掃除が楽」という回答で、35%の人がそのように答えています。「部屋が狭い分、余計なものを置かないから」「掃除をしなくてはならないスペースが小さいから」というのがその理由です。
2位には「都市部に住めて利便性が高い」がランクインし、22%の人がそう答えています。これについては、狭小住宅なら、利便性の高い都市部でもリーズナブルに家を建てられるというのが最大の理由です。僅差で3位につけたのが21%の人が回答した「土地代が安い」というメリットです。土地代の高いエリアでも安く購入できることや、予算が少なくても安く土地を購入できるといったことが理由として挙げられています。
続いて4位に「無駄な光熱費がかからない」という回答が続き、13%の人がそう感じているようです。1番の理由は、狭いだけに暖房や冷房がすぐに効くからということでした。5位に7%の人が「税金が安い」と回答していますが、確かに固定資産税は土地の面積に応じてかかってきますので、狭小住宅なら安く済みます。
このように、狭小住宅にはさまざまなメリットがあるということがわかります。それぞれのメリットやその回答理由を見てみると、一貫しているのが無駄なく合理的な生活ができるということではないでしょうか。
狭小住宅を建てる際におすすめの間取りは?

では、実際に狭小住宅を建てる際にはどのような間取りだとよいのでしょうか。ここでは、おすすめの間取りをご紹介します。
狭小住宅は、なんといってもスペースが限られていますので、空間を上手に利用できるかどうかがポイントとなってきます。スペースのない狭小住宅にとって、廊下や階段をどうするかというのも重大な要素です。そこで、狭小住宅におすすめしたいのが、廊下を作らなくても済む田の字型の間取りや、空間を区切らない間取り、それに地下やロフトを有効活用した間取りなどです。
LDKが細長いと通路が必要になりますが、田の字型のLDKなら部屋をぐるりと回れる生活動線になり、無駄なスペースがいらなくなります。階段は空間の中に溶け込ませ、リビングの真ん中を通ってもかまいません。また、できるだけ壁で空間を区切らない間取りというのも狭小住宅におすすめで、1.5階や2.5階があるスキップフロアも人気です。狭小住宅の場合は土地のスペースが限られているので、その分ロフトや地下といった上下の空間も、上手に有効活用した間取りをおすすめします。ロフトや地下は、寝室や趣味のスペース、収納スペースなどに最適です。
狭小住宅での生活を快適にする工夫

狭小住宅で快適に生活しようと思ったら、やはりそれなりの工夫が必要です。とくに、狭さを感じないような視覚における工夫や、限られたスペースでの収納面の工夫をすることによって、より快適な狭小住宅での暮らしを実現することができます。
視覚における工夫としてまず考えたいのが、大きな窓や大きな鏡の設置です。大きな窓や大きな鏡があることで、部屋に奥行きを感じることができるからです。また、吹き抜けの構造も、狭小住宅でよく採用されます。吹き抜けなら上下への開放感が生まれ、また採光も取りやすいため、狭さを払拭できる明るくて広々とした空間を感じることができるのです。
そして、収納スペースの取りづらい狭小住宅においては、収納面の工夫はとくに重要です。狭小住宅では、いかにデッドスペースを有効活用できるかがキーポイントとなります。階段下のスペースやデッドスペースになりがちな壁面などに作り付けの収納を作るほか、家具を選ぶ際にも収納付きのソファやベッドを選択するなど、少しの工夫でさまざまな場所に収納スペースを生み出すことが可能です。
狭い土地に建てる「狭小住宅」が人気の理由とは?
狭小住宅が人気の理由として考えられるのは、以下の3つです。
● 土地の選択肢が増える
● 大都市への人口の集中
● 生活スタイルの変化
それぞれの理由について詳しく解説します。
土地の選択肢が増える
狭小住宅はその特徴上、通常の住宅よりも狭い土地であっても建築可能です。そのため、狭小住宅ならば家の建築でハードルになりやすい土地探しの選択肢が通常の住宅よりも増やせます。都市部や駅前など、通常の住宅では建築が難しい場所であっても、狭小住宅であれば家を建てられるため、人気を集めていると考えられます。
大都市へ人口が集中している時代に適している
総務省が発表した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和4年1月1日現在)」によれば、国内で人口の多い都市は次のようになっています。(※1)
東京都:13,277,052人
神奈川県: 8,993,192人
大阪府: 8,557,798人
愛知県: 7,269,729人
埼玉県:7,191,831人
上位5県の人口は、全国の半数以上を占めているほどです。都市部への集中は世界的にみられる傾向で、国連によれば世界の都市人口は2040年には60億人までに達するとされています。(※2)
このような大都市に人口が集中する時代において、通常の住宅よりも土地の広さに縛られることがない狭小住宅は、ますます人気を集めていくでしょう。
※1)出典:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和4年1月1日現在)」(参照日:2022-11-15)
※2)出典:総務省「令和2年 情報通信白書」(参照日:2022-11-15)
生活スタイルが変化した
近年はモノやスキル、スペースを貸し出したり共有したりするシェアリングエコノミーや、定額制で商品などが利用できるサブスクリプションサービスが広く利用されています。消費者庁「サブスクリプション・サービスの動向整理」によれば、サブスクリプションサービスの市場は2023年には8,623億5,000万円に達すると見込まれているほどです。(※3)
シェアリングエコノミーやサブスクリプションサービスが広く利用されることによって、自宅の収納スペースも不要になりつつあります。実際、「できるだけモノを持たない暮らしに憧れる」と答えた人は、「かなり当てはまる」と「ある程度当てはまる」との合計で51.9%でした。(※4)
このような生活スタイルに適応しているのが、狭小住宅です。狭小住宅であれば収納スペースが少なくすむため、間取りを含めほかの箇所にこだわりを向けられます。
※3・4)出典:消費者庁「サブスクリプション・サービスの動向整理」(参照日:2022-11-15)
面積に応じて決まる「固定資産税」をコスト削減?
狭小住宅は面積に応じて固定資産税のコストが削減可能です。固定資産税は住宅の土地が200平方メートル以下であれば、課税標準の6分の1に軽減されます。固定資産税は毎年発生するため、狭小住宅にすることで毎年のコストカットが狙えます可。
200平方メートル以下の土地の固定資産税は次のとおりです。
● 固定資産税評価額×1/6=課税標準額
● 課税標準額×1.4%=固定資産税
固定資産税評価額は3年に1度見直されており、公示価格の70%となるのが一般的です。具体的な固定資産税評価額は以下のような書類や台帳から確認できます。
● 課税明細書:市区町村から毎年春ごろに届く書類
● 固定資産課税台帳:市区町村の役所で確認できる台帳(東京都のみ都税事務所で閲覧可能)
● 固定資産評価証明書:役所から取り寄せられる書類
例えば、公示価格が1,200万円の200平方メートル以下の土地にかかる固定資産税は次のように1万9,600円です。
● 1,200万円×70%=840万円(固定資産税評価額)
● 840万円×1/6=140万円(課税標準額)
● 140万円×1.4%=1万9,600円(固定資産税)
都市計画税も3分の1に削減可能
また、住宅の土地が200平方メートル以下の場合、固定資産税だけではなく都市計画税も3分の1に削減できます。
都市計画税は地方税制度の一つです。そのため、税率は自治体によって異なります。また、都市計画税が発生するのは市街化区域に土地や建物がある場合のみです。自宅が市街化区域にあたるかどうかは、自治体に問い合わせれば確認できます。
見せる収納でインテリアが快適?
狭小住宅は見せる収納を意識して、収納スペースをインテリアとして機能させましょう。見せる収納であれば、何がどこにあるかがすぐ分かるため、取り出しやすいというメリットがあります。また、個性を反映しやすいため、オリジナリティあふれる自宅を演出可能です。
一方、上手に収納しないと雑多にみえてしまう、掃除に手間がかかるといったデメリットがあることも理解しておきましょう。
見せると隠すを合わせる
見せる収納をうまく取り入れるには、見せると隠すを上手に組み合わせることが大切です。例えば、最初のうちは視界の半分を見せる収納、半分をかごやバスケットなどで隠す収納といったような具合に、徐々に見せる部分を増やしていくと良いでしょう。
隠れた部分は見せる収納のアクセントとして機能するため、おしゃれな雰囲気を演出できます。
定位置を決めておく
見せる収納では、頻繁に使うものの置き場所を決めておきましょう。置き場所を決めておくことで、どこになにがあるかがすぐ分かる上に、清潔な雰囲気になります。
反対に置き場所が決まっていない場合と整理が行き届いてないような印象の部屋になってしまいます。
置き場所を決める際は使いやすさに加えて、物の重さにも配慮しましょう。あまり使わない重いものは下に、頻繁に使う軽いものは上を定位置にすれば事故のリスクも減らせます。
小物を使って統一感を出す
インテリアに小物を飾ることで、見せる収納がぐっとオシャレになります。小物を飾る際は色やサイズ、素材などを他のインテリアとそろえると統一感が出て、より引き締まった印象になります。
見せる収納で注意したい点
見せる収納で注意したいのが、生活感を出さないようにすることです。生活感が出てしまうとオシャレな空間からは遠のいてしまいます。生活を出さないためには、収納場所を決めておいて、そこにしまうことを意識しましょう。
また、収納スペースに物をしまいすぎるのも避けましょう。見せる収納では、何がどれくらい入っているかが分かってしまいます。そのため、収納スペースがぎっちりと詰まっていると、乱雑な印象が生まれてしまいます。
住宅ローン減税を受ける条件

住宅ローン減税(控除)を受けることで、年末時点のローン残高のうち0.7%が所得税、住民税から控除されます。
もともと、住宅ローンの控除率は0.1%でしたが、2022年1月の法改正により控除率が0.7%に変更され、同時に床面積や所得要件が変更されました。
変更によって所得、床面積の条件は以下のようになりました。
床面積 | 所得条件 |
50平米以上 | 2,000万円以下 |
40平米以上 | 1,000万円以下 |
40平米以上であれば所得によっては狭小住宅であっても住宅ローンの減税が可能です。以前は50平米以上が控除条件だったことを踏まえると、狭小住宅でも住宅ローン控除が受けやすくなってきたと言えるでしょう。
住宅ローン控除が受けられなくても補助金を支給される可能性がある
狭小住宅で住宅ローン控除を受けようとすると、床面積と所得の条件によっては対象外となる恐れがあります。ですが、そのような場合であっても受給できる可能性があるのが、ZEH支援事業とこどもみらい住宅支援事業です。
ZEH支援事業とは、太陽光発電や省エネルギーなどによってエネルギー収支がゼロ以下になるZEH住宅に対して行われているものです。支援内容は狭小の土地にZEH住宅を建てた際に55万円が支給されます。
また、こどもみらい住宅支援事業とは子育て世帯や若者夫婦世帯が次のような住宅を建築した際に補助金が支給されます。
● ZEH住宅:100万円
● 省エネ性能が高い住宅:80万円
● 省エネ性能が一定の住宅:60万円
まとめ



ここでは、実際に狭小住宅を建てて住んでいる人に、狭小住宅のメリットについてアンケート調査を行いました。アンケート結果から、狭小住宅のメリットや魅力について確認することができました。そのうえで、狭小住宅を建てる際におすすめしたい間取りや、狭小住宅での暮らしを快適にする工夫についてもご紹介しましたので、これから家を建てることを検討している方は、ぜひ参考にしてください。北辰工務店でも、そんな快適な狭小住宅の提案を行っていますので、お気軽にご相談ください。